2007年6月29日
       〜7月1日
伊那市から北岳

2008年7月4日〜6日
芦安から北岳

山の回遊記録
大雪山

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北アルプス
南アルプス
コース時間 (スロー登山の厳守と花の撮影でのんびりペースですぅ。)

2009年6月26日〜28日
芦安から北岳



29日:仙流荘(8:05)〜北沢峠(9:00)〜広河原(10:10) 路線バス
    北岳登山口広河原山荘(10:40)〜山尾根コース〜白根御池小屋(14:40)泊
30日:白根御池小屋(5:40)〜草すべりルート〜小太郎尾根分岐(9:00)〜北岳肩ノ小屋(9:45)〜北岳山頂(11:00)
    〜八本歯のコル(12:00)〜北岳肩ノ小屋(15:00)泊
01日:北岳肩ノ小屋(5:30)〜草すべり・右俣コース分岐(6:00)〜二俣(7:45)〜大白樺〜広河原(10:40)
    広河原(12:20)〜仙流荘(15:50) 路線バス

東北の山
(南アルプス)

29日
アプローチ
北沢峠のバス停(簡易テントの下でバス発車を待ち)仙流荘のバス停兼案内所
 仙流荘から北岳の登山口である広河原への路線バスは8:05分発である。埼玉の自宅を午前12前に出発、圏央道が中央高速と接続されたので便利である。入間から圏央道に入り、中央高速の伊那インターで降りた。人気のない国道を黙々と走り、午前4時前に仙流荘に到着。無料駐車場に駐車して7時頃まで仮眠を取った。
 7時前にハクセキレイが車の天井をパタパタと歩く音で目が覚めた。バスの始発まではまだ早いが車中で朝食を頂いた。無料駐車場に広河原山荘(ここで最新情報と登山準備)はプレハブの仮眠室が併設されており事前に知っていれば足を伸ばして寝ることができたので少し後悔した。ちょっとのぞいてみるとシーズン始めの為か少しカビ臭かったが、畳がひいてあり寝袋を持ち込めば結構快適に使えそうだ。次回はここで寝よっと!
 天候は曇り、雲の動きが速い!。7時30分頃にはバス停に人が集まりだしていた。30人〜40人位・・・半分が登山用の大型ザックを持っている。残りの半分は渓流釣り人である(野呂川は人気の渓流釣りスポットらしい。)バス料金は伊那市運行の仙流荘〜北沢峠までが1200円、ザック持ち込み料200円を追加すると1400円となる。(無料のザックは幼稚園生が背負うような大きさだ。こんな小さなザックで南アルプスを歩く人いないだろなぁ、ちょっと呆れた!始めから料金に追加しておけよと思った。)北沢峠〜広河原までは南アルプス市(旧芦安村)の運行で荷物込みで750円となる。行政の管理が異なるとはいえ、別々に料金を払うのはめんどくさい。殆どの人が広河原まで行くので一気通関の切符も販売して欲しいと思った。
 始発バスが来た!ここから北沢峠までは1時間ほどの乗車となる・・・眠いのでバスの揺れが心地よく寝てしましたZZzzz。北沢峠に着くと天候は雨・・・、梅雨時期の登山において雨は覚悟しているものの実際に雨が降ると憂鬱、さらにバスの乗り継ぎが悪く、簡易テントの下で45分も待つことに・・・・何とかしてくれ南アルプス市!!。バスに乗車するとまた寝た・・・・。広河原のバス停は北岳登山口から200m以上も離れているため、今日は雨が降っていることもあり、バスの運転手が気を使って登山口の吊り橋前で降ろしてくれた(ありがとう助かりました。行政とは違い運転手はユーザー重視のいい人でした。)
 吊り橋を渡り、広河原山荘で小屋主さんから情報集すると、今年は雪が多く大樺沢は危険なため通行禁止!。何でも土石流が発生していて落石が多いそうだ。また、小太郎尾根分岐の雪渓は10本以上のアイゼンとピッケルは必修(持ち物をチェックされてしまった。)だそうだ。キタダケソウは大雪の影響で今が最盛期で見頃とのことラッキーな事である。
 この情報を基に登山計画の変更を余儀なくされた。八本歯のコルから大樺沢を下れないとなると、1日の下山時に北岳山荘から山頂を経由しなければいけないので、広河原発〜北沢峠までの最終バス14:25分に間に合わない恐れがでてきたのである。ペースを上げて下山すれば良いが、花の撮影と山頂付近の天候急変を考えるとリスクが大きいため、北岳山荘を諦め、30日は肩ノ小屋に宿泊することとした。山荘内で雨瑞々しいマイズルソウゴゼンタチバナ見頃でした。具の準備を済ませて”キタダケソウ待っていろよ〜っ”気合いを入れた。
遠く、長く厳しい、キタダケソウへの道のり
 南アルプスは、北アルプスとは異なり山頂までのアプローチが長いため厳しい登山を覚悟しなければならない。今日の目的地である白根御池小屋の標高は2230m、登山口の広河原は1520mで標高差710mであり、例えば鳩待峠〜至仏山山頂より少し高い計算となる。登山ルートは樹林帯の急登尾根ルートと大樺沢〜二俣を経由するルートとがある。今日は天候が雨で風もある事から風雨を避けて急登尾根ルートを取った。風雨は樹木が防いでくれるので少しは楽だが、結構な急雨の中、やっと白根御池小屋に着きました。登で御池の湖畔に咲くナナカマド尾瀬で例えると燧ヶ岳のナデッ窪と同じ感じである。天候は最悪だが花々は以外に咲いている。クリンソウ、マイズルソウ、ギンリョウソウ、ゴゼンタチバナ、ノビネチドリ、エンレイソウ、ツバメオモト、ミヤマキンポウゲを確認できた。御池小屋手前14時過ぎから雨が激しくなってきた。小屋に着くと雨と風はさらに強くなりホット胸をなで下ろした。御池小屋は雪崩により基礎が破損したため、2006年に新設された小屋で室内は木材の匂いがして心地よく疲れた体が癒されますぅ。夕食は17時なので、それまでビールを飲みながらの楽しい反省会〜。照り焼きチキンの美味しい夕食の後は雨が止んで辺りを散策〜、ナナカマドが見頃でした。北岳は雲の中だが明日の天候回復を期待させた。小屋の部屋は大部屋で布団一式が個人のスペースとなる。睡眠不足と悪天候の登山で疲れていたので、フカフカの布団に入ると直ぐに寝てしまった。

30日
憧れのキタダケソウとの出会い
真打ち登場!!鳳凰三山からの朝焼け
 昨日の雨が嘘のように晴れたものの、鳳凰三山からの朝焼けは雲に遮られ焼けなかった。しかし、草すべりの先には北岳を拝むことができた。今日は草すべり〜小太郎尾根〜北岳山頂と昨日以上の標高差(900m以上)を登る事になる。特に草すべりは標高差500mで、3時間の急登である。数字だけ見るとうんざりするが、天候は晴れ、草すべりは雪解けを待っていた高山植物が咲いていると言う。登り始めでコバイケソウがお出迎えである。特にキバナノコマノツメが最盛期だ!あっちこっちで大群落が確認できる。サンカヨウも最盛期!、昨日のサンカヨウ見頃でした。草すべりコースの急登でガラス細工状のものや蕾、今朝咲いたものなど色々楽しむことが出来るので、急登の厳しさも花の撮影に夢中で疲れを忘れさせてくれる。シナノキンバイはまだ蕾が多いが早咲きの個体はぽちぽち咲いている。特に標高差を感じさせてくれたのが、ミネサクラである。草すべりを登り始め頃のミネサクラは最盛期は過ぎていたものの、標高2400m辺りのミネサクラは最盛期になっていた。通称草すべりの場所は、初夏には一面のお花畑の写真が有名だが、今は若葉一色だ。そこにピンク色と赤色が強いショウジョウバカマが咲いているのが好い感じぃ。草すべりを登り切ると小太郎尾根への雪渓トラバースが待ちかまえていた。先週はここで滑落した人がいるので慎重になる。流石に登山者が少なく、はっきりとしたトレースが無いのが不安ではあるものの、雪質が春先特有の腐れ雪なので、キックステップでいける感じ(アイゼンを装着するのも面倒)である。一歩一歩慎重に歩いて何とか尾根にたどり着いた。尾根にはキバナシャクナゲが最盛期を迎えていて、急登を登り切った安堵感と満足感に浸って、ここで一休み・・・・。ここから肩ノ小屋までは稜線歩きで礫地に咲く高山植物との出会いが楽しい。イワウメ、ミヤマタネツケバナ、クモマナズナ、ハクサンイチゲ、オヤマノエンドウ、チシマアマナ、ミヤマキンバイ、コメバツガザクラが確認できた。肩ノ小屋は深いガスに包まれていた。肩ノ小屋で北岳山荘泊を変更して急遽宿泊することを話してチェックインを済ませる。その後ザックをデポして、キタダケソウの散策〜に出発だ!。北岳山荘へは携帯電話でキャンセルを伝えた。何と標高3000mの高所でもauの電波が来ているのにはビックリだ。肩の小屋の小屋主さんからキタダケソウの情報を聞くと八本歯のトラバースルートが最盛期だそうだ。しかし、トラバースルートは雪庇が残っていて通行禁止なので手前で戻るように言われた。その日の午後にはトラバースルートを通行した登山者が滑落したようだ。
ミネザクラ(7月の花見です。)キバナノコマノツメと北岳ハクサンチドリが一輪咲いていました草すべり、花の最盛期はまだ先です。
右俣コースと草すべりコースとの合流点小太郎尾根までの登山道はガレています。ショウジョウバカマ好い感じです。キバナシャクナゲ最盛期です。










やっと肩ノ小屋に着きました。クモマナズナ、岩稜に張付いて生きています。チシマアマナ、個体数は多いです。岩に生きる”イワウメ”










 キタダケソウを見るには山頂を制覇する必要がある、それも標高差200mの往復は結構堪える。岩稜歩きで足場が不安定だが何とか北岳山頂にたどり着いた。ピークハンターではないものの、日本で二番目に高い山を制覇した喜びに少しはしゃいでしまった。山頂で一休みした後はキタダケソウが群生している八本歯のコル付近を目指して岩稜を降った。
ピークハンターではなくとも、”日本第二位の高所”はしゃいでしまいます。清楚、可憐、憧れのキタダケソウガレた急傾斜地に咲いてます。













 八本歯のコル付近に着くとキタダケソウが一面に咲いており圧巻である。憧れのキタダケソウが目の前に咲いている・・・。貴方に会うために長く厳しい道のりを乗り越えて来たので最初の一輪を見たときは涙ものでした。しかし、キタダケソウに混じって、ハクサンイチゲチョウノスケソウが咲いているのが紛らわしい。高山植物に詳しくない人はハクサンイチゲとキタダケソウとを間違える(葉及び花びらが全然異なるんですけど・・・・・。写真を撮りながらレクチャーしてしまいました。)様である。キタダケソウを夢中で撮っていると晴れ間も出てきて好い感じである。ただし、、キタダケソウと間ノ岳の写真をイメージしていたが適当な場所にキタダケソウが咲いていなく今回は残念な結果に終わった。適当な場所にはハクサンイチゲが咲いて”おりお前じゃ無いんだけど”と言ってしまったが贅沢な話である。キタダケソウが咲く斜面は、登山道を中心にガレ場の荒廃が進んでおりキタダケソウの行く末が心配された。高所に咲く清楚で可憐なキタダケソウを後生に残したいと切に願った。キタダケソウを満喫した後は肩ノ小屋へ帰ることとした。
間ノ岳とハクサンイチゲ八本歯の岩稜に咲くキタダケソウの群落登山道周辺から、斜面の崩落が進んでいます。キタダケソウに混じって”チョウノスケソウ”も咲いています。










キタダケソウに混じって”ハクサンイチゲ”も咲いています。もう少し経てばお花畑の完成です。山頂付近でガスに覆われました。北岳山頂を越えて、肩ノ小屋に戻って来ました。










 肩ノ小屋は昔ながらの山小屋の雰囲気である。30日は開山式でもあり超満員である。食事はまあまあ旨かったが、寝床が最悪である。布団の代わりに一人あたり毛布が4枚?毛布にくるまって寝ろってことか!ひき布団くらい用意してくれっーの!!板の間に毛布では体が痛いので中々寝付けない。こんな事ならエアーマットを持ってくればよかった。肩ノ小屋は噂通りの最悪な小屋だが、他に選択しが無いの仕方ない。中々寝付けず熟睡しないまま朝を迎えてしまった。

1日
長く遠い広河原への道
北岳バットレスとシナノキンバイ帰りは、右俣コースで降りました。最終日、朝焼けの眺望は・・・残念。
 寝付けないまま午前4時に起床した。堅い板の間で寝たので体の節々が痛い、最悪の寝起きである。天候も弱雨で小屋の周囲は厚いガスに覆われている。朝食後もガスが晴れる気配は無いため早々に下山することにした。小太郎尾根の雪渓は多くの登山者によりハッキリとし二俣の道標二俣からは大樺沢の雪渓を降ります。たトレースがあり楽々降ることができた。帰りは右俣コースを下った。右俣ルートはシラカバの中を歩くルートだ、どちらかと言えば草すべりルートの方が高山植物が多く感じた。ぐんぐん降ると晴れ間が見え始め、北岳バットレスと大樺沢が眺められる地点まで来た。急激に気温が上がっているため、蒸気が北岳に上がっていくのが印象に残った。大樺沢の雪渓は土石流で汚れていた。二俣に着くとおやつ休憩を取った。ここからは大樺沢の雪渓下りだ。雪渓上には落石の大きな岩がゴロゴロしており不安をかき立てる。しかし、雪渓下りは靴底を滑らせながらのスケーティングが結構楽しい。雪渓を一気に降った後は夏ルートに沿って歩くことになる。また、当初の左岸ルートは斜面の大崩落の影響で通行止めであり、大回りの右岸ルートを取ることになった。ここでも500mの標高をダラダラと広河原まで降るので精神的に堪える・・・・正直しんどい。南アルプスのアプローチの長さを再度開山式後なので、多くの登山者が大樺沢を登ります。痛感した大樺沢の雪解けでマイナスイオンが豊富です。タカネグンナイフウロ。樹林帯尾根コースと大樺沢コースとの分岐に着いたときは”やっと帰ってきた”との実感が込み上げてきた。あと少しで広河原である。広河原手前のクリンソウに挨拶して広河原に到着した。広河原山荘に下山の報告をして吊り橋を渡った。帰り際には仙流荘で2日間の汗を流して帰路についた。

 長く、遠く、厳しい山行だったが、憧れのキタダケソウに出会えた心に残る回遊であった。また機会があればキタダケソウに出会いたいと切に思う。それほど高山植物好きを引きつける清楚で可憐、気品のある花であった。

おしまい。遠く長かった山行もこの吊り橋を渡れば終わりです。
キタダケソウ・・・貴方に会えて良かったです。北岳登山口に咲く”クリンソウ”

登山計画
登山口へのアプローチ
北岳登山口にある白峰三山の案内図
 キタダケソウを見るには6月中旬〜7月上旬が開花時期である。当然の事ながら登山口までのアプローチは、開山式前なので不便な状態であり、選択肢は6月中旬から運行している長野県伊那市側に限られる。(山梨県側、静岡県側は開山式まで運行していない。)
登山コース
 伊那市側からのアプローチでは登山口に午前10時過ぎに到着する。この時間で北岳肩ノ小屋にその日に到着するには、かなりのハイペースで歩かなくてはならない。ましてや夜行で睡眠時間が少ない初日に標高差1500mはかなり厳しい。以上のことを鑑みて、
 6月29日:入山(広河原の標高1520m)〜標高2230mの白根御池小屋泊
 6月30日:草すべりルートで北岳肩の小屋〜北岳山頂〜八本歯のコル〜トラバースルート〜北岳山荘泊
 7月01日:北岳山荘〜トラバースルート〜八本歯のコル〜大樺沢〜広河原

の計画を立てた。
 今年の北岳は数十年にあるかないかの大雪のために残雪が多く、入山前の18日には小太郎尾根で滑落事故が起きている。最新情報を聞こうにも山荘には電話が通じず(話し中、留守電)、後述するが、現地に入ってからの情報により登山計画を大幅に変更する事となった。

2007年度 憧れのキタダケソウを求めて・・・

キタダケソウへの思い
 キタダケソウそれは氷河期の生き残り・・・、日本で二番目に高い山”北岳”の山頂直下に雪解けの短い期間にひっそりと咲く高山植物である。その開花時期から北岳に数十回以上登ったことがある人でも見たことがない幻とも言える花である。当憧れのキタダケソウ然のことながら、残雪期の高所登山になるのでピッケル、12本アイゼンなどの雪山装備と梅雨時期の不安定な天候及び登山口までのアプローチの悪さなどを考慮する必要があり、それなりのスキル(ベテランの同行)が要求される。そのような理由から、困難であればあるほど一度は見たいと、キタダケソウへの思いが年々強くなっていた。
 実は回遊仲間の鈴木文夫さんは若い頃には北岳バットレスや厳冬期の北岳に4回も登頂している北岳のスペシャリストである。そんな北岳のベテランでもキタダケソウの開花時期は天候が不安定と言うこともありキタダケソウは未だに見たことがないそうだ。文夫さんにキタダケソウツアーをお願いすること3年・・・やっとOKが出ました。文夫さんは6年ぶりの北岳登山のようだ。最近は膝が弱ってきており不安を抱えての挑戦となった。